クロノグラフの歴史を少し話すと、1800年代の前半までさかのぼります。

いまでこそクロノグラフといえば自動巻きで安価に買える腕時計になっていますが、昔は自動巻きのクロノグラフなんてなかったのです。

自動巻きのクロノグラフ搭載のムーブメントが初めて誕生したのは1969年のこと。

ちょうどNASAがアポロ計画を夢中で推し進めていた頃、ブライトリングやゼニスも自動巻きクロノグラフムーブメントに巨額を投じていました。

NASAが公式腕時計として採用したのはみなさんもご存知、オメガのスピードマスターで、そのスピードマスターが搭載していたのはレマニアのムーブメントベースの手巻きクロノグラフ。

当時はまだ自動巻きクロノグラフムーブメントがなかったので宇宙に持っていかれた世界で唯一ムーンウォッチと呼ばれるスピマスの駆動は手で巻かれていました。

ですから、もう少し早く自動巻きクロノグラフムーブメントが開発されていればムーンウォッチは自動巻きという選択をしていたんじゃないんでしょうか。

なぜなら宇宙での作業を進めるうえで、腕時計の駆動も手作業で行うよりは、自動巻きで勝手に巻き上げてくれるほうがはるかに楽だからです。

宇宙では余計な仕事は出来るだけ減らしたほうがいいですから。

当時は手巻きが古臭いとされ、資金力のあるメーカーが自動巻きのクロノグラフ開発に躍起になっていたわけdすが、現代の時計は少々様子が違うようです。

手巻き式のクロノグラフ、および腕時計は、観賞用としての意味が年々強くなってきています。

鑑賞するのはもちろんシースルーの裏蓋から覗くムーブメントの方。

自動巻きムーブメントとは作りが違うのでパーツなども手巻き専用のがたくさんあります。

それらを美しく見せるためにパーツパーツがきれいに仕上げられているから高額なんですが、それでも富裕層や時計マニアからすれば手巻きの方が価値があるのです。

A.ランゲ&ゾーネ ダトグラフ アップ/ダウン 18KPG Ref.405.031

A.ランゲ&ゾーネ ダトグラフ アップ/ダウン 18KPG Ref.405.031


例えばこのランゲ&ゾーネの手巻き式クロノグラフ。

手巻きといえばランゲ&ゾーネというくらい手巻き式の腕時計というイメージが定着しているドイツのブランド。

そうなるとランゲ&ゾーネでクロノグラフを探せばいいわけですが、ダトグラフと呼ばれる同社のアイコニックなクロノグラフの1本がこれ。

1999年に初めて登場した同シリーズですが、もちろん時とともに進化しています。

A.ランゲ&ゾーネ ダトグラフ アップ/ダウン 18KPG Ref.405.031

同モデルには自社製ムーブメントCal.L951.6が載せられ、裏から先ほど述べたように綺麗なムーブメントが鑑賞できます。

この手巻きクロノグラフというはノンクロノグラフで見ることが出来ない、『ピラーホイール』、『キャリングアーム』、『多なテンワ』、『リセットハンマー』などの動きが鑑賞できるメリットがあります。

これが手巻きクロノグラフを購入する大きな理由の一つでもあります。

手巻きムーブメントの世界的名手でもあるランゲ&ゾーネのクロノグラフを選ぶ人の中にはそういったマニアが喜びそうな点を注視して買い求めています。

知名度は低めのA.ランゲ&ゾーネですが、それとは逆に技術力などは半端なく高い。

A.ランゲ&ゾーネ・2018年のSIHHで発表されたコンプリケーションクロノグラフ・トリプルスプリット Ref.424.038

同社が生み出すクロノグラフの中にはこんなすごいのも存在します。

というわけで、手巻きクロノグラフの歴史や存在理由が分かれば腕時計の見方が少し変わってくると思います。

ヴァシュロンコンスタンタン・牛の角をテーマとしたラグを持つ1955年の名作 Ref.6087をベースとしたヒストリーク コルヌ ドゥ ヴァッシュ 1955 Ref.5000H/000P-B058

パテックフィリップの手巻きクロノグラフ・クロノグラフ 18Kホワイトゴールド ホワイト Ref.5170G-001、ブラック Ref.5170G-010・クロノグラフの歴史を少し辿ってみる。

こちらの記事でもおすすめの手巻きクロノグラフについて書いているんですが、どれも裏蓋がシースルーになっていて、これでもかと自社の手巻きキャリバーを見せています。

資金に余裕がある場合は是非手巻きクロノグラフを選んでみるのも良いと思います。