
オメガとロレックスはある意味ライバルのような存在だと思う。
時計の価格差はもちろん大きく、
ロレックスの方がよりブランドとしての価値は高い。
時計作りに対する姿勢もロレックスは世界で一番真摯に向き合っていると思うほど、
繊細で細かな作業にまで目をやっている。
かといってオメガが怠けているわけでは無い。
オメガにはオメガの攻め方があって、
ガンギ車を2枚、同軸上に配置することで、
アンクルの爪の摩擦を著しく減らすことによって、
オーバーホールの期間を5年から10年に減らせる仕組み、
コーアクシャルを利用する唯一のブランドとしても有名だ。
このコーアクシャルが開発されたのは1974年のこと。
開発者のジョージ・ダニエルズ氏はその技術をパテックフィリップに持ち込んだそうだ。
その技術を採用されることは無かったらしい。
当時の時計は40mmを下回るものが多く、現代のデカウォッチとは違う。
つまり、機構が大きくなるので搭載することが出来なかったらしい。
ロレックスにも持ち込まれたコーアクシャルですが、
ロレックスには全く理解してもらえなかったそうだ。
オメガのみが採用するコーアクシャル機構。
摩擦が減るということは壊れにくいということでもある。
メンテナンス性の高い技術なのだ。
更に研究がすすめられたコーアクシャル機構。
当時、他社とは違った販売戦略を打ち立てていたオメガには、量産体制が整っていた。
そこで初めて、1995年にコーアクシャルムーブメントを搭載した時計を生み出した。
初めて組み込まれたのはデヴィル。
右が通常のアンクルとガンギ車の構図。
2本の爪で制御している。
それに対し、
左側のコーアクシャルは3本の爪がアンクルに付属し、
ガンギ車は2種類が同軸上に配置され、
それぞれの爪を動かしながらテンプの動きを制御している。
現代の時計の振動数は毎時28800回が一般的。
1秒に直すと、テンプは8回振動していることになる。
1974年にジョージ・ダニエルズ氏によって生み出されたコーアクシャル機構は、
1980年に特許が取得された。
現代ではその特許も切れているのですが、
オメガ以外はコーアクシャル機構を搭載しないのはなぜか?
その理由はやはりコストにあるらしい。
摩擦が通常の半分ということは、
部品は2倍かそれ以上。
通常の脱進機に比べ制作コストと時間がかかる。
あと考えられる理由は、
構造が変わるのでムーブメントを再設計しないといけない点。
これが意外と大きいかも。
そういう点からも、
現在でも唯一のコーアクシャルブ機構を搭載するのはオメガ一社だけだ。
早くからコーアクシャル脱進機に注目していたオメガは、
量産が難しいと言われていた同機構の時計も、
2007年くらいからじゃんじゃん量産している。