
2016年はデイトナの年でした。
2000年に発表された前作のデイトナ Ref.116520から16年、ようやく新たなデイトナが発表され、この年はまさにデイトナ一色で始まり、またデイトナの価格高騰で1年を終わりました。
2017年はシードゥエラーの年でした。
シードゥエラーの誕生から半世紀を記念して登場した新作あの赤シード Ref.126600が大々的に発表されました。
それと存在感を同じくする新型デイトナのゴールドケースモデルが3種類ほど発表され同じくらい注目を浴びます。
そして2018年のバーゼルワールドでは、世間の注目は一気に新作GMTマスターII Ref.126170BLROに集まりました。
この熱は今でも感じられるくらいですが、このモデルが実際に販売され、需要が落ち着くまでずっと続くんじゃないでしょうか。
ロレックスにとって定価なんてあってないようなものです。 w 新型デイトナの販売価格が2倍になってから久しいです …
というわけでですね、今日はそんな冷めない新作GMTマスターIIを記念してその歴史について少し振り返ってみたいと思います。
初代GMTマスター Ref.6542
image by www.hqmilton.com
これが初代のGMTマスター Ref.6542と呼ばれるモデル。
1955年に誕生したローカルタイムとホームタイムを表す機能が付いたデュアルタイム機能が付いた時計がこのRef.6542。
GMTマスターがどんな経緯で誕生したかをお話しましょう。
1952年に世界で初めて旅客機がイギリスのロンドンから南アフリカのヨハネスブルグ間で就航し、世界は海外旅行への夢を見始めました
。
1953年にアメリカのパンアメリカン航空から現地時間と本国時間を一度に表示できる腕時計の製作をロレックスに依頼したことからGMTマスターの歴史が始まります。
そこで海外を渡航する人々が増えるという需要を見込んだロレックスがパンアメリカン航空の要望に応えるため時差を利用した回転ベゼルと24時間で1回転するGMT針を開発し、昼夜の区別が出来るようにしたのがこの腕時計の始まり。
それまでに陸を制していたエクスプローラーや海を制していたサブマリーナを誇っていたロレックスにはまだ航空ウォッチがなく、ブライトリングなどと比べてもやはり少し遅れていました。
そしてパンアメリカン航空から依頼されて作った新たなGMTマスターは24時間針とサブマリーナで培った回転ベゼルを組み合わせただけのモデルで、コストなどはあまりかかっていないはずです。
新たな開発なども必要なくこれまであった技術を組み合わせたアイディアから生まれたのがこのモデル。
そんなGMTマスターが現代では世界を代表するデュアルタイムの腕時計になっています。
そういった背景などから、日常的に時差のある場所へ移動するパイロットたちへと向けられて作られたのがGMTマスターの始まりで、現代の赤青ベゼルのツートーンカラーにもその名残が見えます。
アメリカの国旗からくる赤と青のベゼルも色的にイメージしやすい昼夜表示になっている。
これはなかなかのアイディア商品だったんじゃないかなと思われます。
その後1958年にパンアメリカン航空はボーイング707、ニューヨーク~パリ間を就航させ、1959年にはジェットクリッパー機でニューヨーク~モスクワ間を初めてノンストップ飛行したとのことです。
翌年1960年にロレックスの創業者、ドイツ人のハンスウィルスドルフさんが亡くなられました。
1953年にパンアメリカン航空からの依頼で始まったGMTマスターは、彼がパリで考えたアイディアなしでは生まれなかった傑作なんですね。
というわけで、2018年に誕生した新作のGMTマスターIIをきっかけにふり返るGMTマスターの歴史はちょっとうるうる来るものでしたw
それにしてもいい時計ですな、GMTマスターは。
30を過ぎてこの良さが分かってきました。
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