
2018年はGMTマスターIIの年でした。
新作GMTマスターII Ref.126170BLROが発表されて、新旧GMTマスターが一気に注目されるようになりました。
2016年はデイトナの年でした。 2000年に発表された前作のデイトナ Ref.116520から16年、ようや …
特にGMTマスターでは不可思議なことや記念すべき偉業を達成した舞台モデルになっているので、過去の歴史を見てみても結構面白いんですね。
実は。
例えばGMTマスターが誕生したのが1955年。
これまで航空時計といて遅れていたロレックスは、いや航空時計すらなかったロレックスは、パンナムからの依頼でGMTマスターを生み出したわけですが、時差や回転ベゼルを利用してホームタイムとローカルタイムの2つの時間帯を表す画期的なアイディアやパイロットとの
PRなどで一気に人気モデルとしての地位を確立しました。
その後1982年には時針のみを独立で動かせるムーブメントを開発し、第3時間も計測できる更に画期的なGMTマスターIIを発表しました。
その後なぜか18年間もデザインや機能を大部分で共有する二つのシリーズが同時に存在していたことがファンの間からも不思議がられています。
これがGMTマスターの不可思議な点。
もう一つの不思議な点が2007年に発表された当時の新型、Ref.116710に初代の赤青ベゼルとステンレスの組み合わせがないところ。
ホワイトゴールドモデルには赤青ベゼルのモデルが存在していたんですが、見た目は似てても金額が全く違いますから、買える人は格段に少なくなります。
なんでそんな変なことをしたのかよくわかりませんが、時々ロレックスは当たり前のように登場するだろうと思っていたモデルをすっ飛ばすことがあります。
シードゥエラーもそうだったんですね、実は。
2018年に登場した新型のGMTマスターII Ref.126170BLROがバーゼルワールドでも一番人気だったのもファンが待ち望んだ赤青ベゼルが11年ぶりに904Lステンレスモデルで誕生したからなのでした。
さてそんな不可思議なGMTマスターなんですが、実はこのGMTマスターIIはロレックスが初めてセラクロムベゼルとブルーパラクロムヒゲゼンマイを搭載したモデルでもあり、現在のロレックスのスポーツモデルのベースとなっている仕様の最初の一石を投じた記念すべきモデルでもあるのです。
このセラミックというのがなかなかややこしいもので、当然開発は容易でなかったはずです。
セラミックは人類最古の人工素材といわれるように、昔からその存在が知られています。
熱して冷ますという過程でセラミックは縮小する性質などを持っているため、完璧な成型は非常に難しく、特殊な技術を要します。
日本ではパイオニアである京セラなどがセラミックベゼルのインサートを作ったりしていましたが、マニュファクチュールであるロレックスは独自でセラミックベゼルを開発しました。
全て自社で作っている時計メーカーなので意地もあったんでしょうね。
耐傷性にすぐれ、かなりの硬度を持つセラミック。
モース硬度では9を硬さにもつセラミックはダイヤモンドじゃないと削ったりできないらしい。
それだけ成型の技術などが重要となるセラミックに関して、ロレックスは着色などでも独自の技術を持っています。
GMTマスターIIの2色ベゼルは着色する工程でかなり特別な作業が必要となるらしく、ホワイトゴールドモデルのGMTマスターIIで赤と青の着色をするのがとても難しかったらしい。
赤青ベゼルの場合、青い部分は赤い部分から化学変化を起こさせ、青に変色させるらしい。
赤色のセラミックに含まれるアルミナとクロムにコバルト水溶液が焼結中に反応すると青色が出来るみたい。
これ以上にかなり複雑な工程がまだあるみたいなんですが、ロレックスが編み出した独自の技術がふんだんに使用されたのが2色のセラミックベゼルインサート。
実は2つのパーツをくっつけたとかじゃないんですね。
この1つのパーツで出来たセラミックベゼルは世界でも初となったらしいです。
1955年に登場したGMTマスターですが、このモデルがなければ生まれなかった技術もあったんですね。