
ひっくり返せる腕時計?
腕時計には面白いことに同じ年代にいろいろなことが重なっていることがあるんですが、例えば1969年。
1969年はアポロ11号が月に行った年で、世界中が宇宙や月に熱狂した年でした。
腕時計では1969年と言えば、世界で初めてクロノグラフの自動巻きムーブメントが開発された年で、ブライトリングとゼニスが同時期に発表しているんですが、どちらも自分が世界初だと主張していますw
どちらもすごいメーカーですから、どちらでも構わないんですが、1931年と言う年もまた面白い年なんですね。
1931年はサルバドールダリの絵画『記憶の固執』が製作された年で、ジャガールクルトのレベルソが誕生した年です。
みなさんは好きな画家がいますか? 僕はアートのことはあまりよくわかりませんが、レンブラントの絵がすごいなとテレ …
アールデコ様式の美しいケースが特徴的なジャガールクルトのレベルソの新モデル、 Ref.Q3828420 レクタ …
レベルソの誕生話についてはこちらで説明しているので読んでみてください。
というわけで、1931年。
実はこの年、もう一つ有名な腕時計が誕生しているのです。
タンクのケースが裏返せるモデルなんですが、こういうやつ。
カルティエ タンク バスキュラント
このモデルは1931年に誕生したケースを裏返すことが出来るタンクの1種を復刻した、タンクバスキュラントと言うモデル。
非常にジャガールクルトのレベルソと被っている部分が多いモデルで、どうしてレベルソが誕生した1931年に同じく登場しているのかが不思議な感じですが、ジャガールクルトのレベルソが誕生した理由などを知れば、やはりカルティエがマネしたのかなと言う気にもなりますが、
まあその辺は正直どっちでも良いです。
さて、そんなタンク バスキュラントなんですが、ジャガールクルトのレベルソとは違って、フレームを上げて縦方向に回転させて裏返す仕組みが採用されています。
こういう感じです。
ジャガールクルトのレベルソは時計自体を横にスライドしてひっくりかえして裏返す仕組みを使用していますから、裏返せる腕時計だとはなかなか気づきません。
同じ裏返す機能がついた腕時計でも、仕組みが違いますから、デザインにも多少影響が出ています。
タンクの方はケース周りにフレームがあるのがよくわかりますから、勘のいい人ならすぐに気づくんじゃないでしょうかね。
腕時計と聞けばどんな形状のものを思い浮かべるでしょうか? ほとんどの人は丸い腕時計だと思います。 僕もそうです …
こちらでも紹介しているんですが、タンクとレベルソはレクタングルウォッチとしてとても良いライバルになっています。
どちらもダンディで大人っぽいレクタングルウォッチの作り手として有名ですが、今回のようにカルティエのタンクの方にも裏返せる機能が付いたモデルがあったとは少々驚きでした。
おそらく、カルティエがタンクに使用している裏返しの仕組みは機能的にはあまり良いものではなかったので人気が出なかったので没になったんじゃないかなと思いますが、これは僕の推測の域を出ません。
上記でも述べた通り、ケースを見る限り、フレームやフレーム間の溝などが見える点、このフレームによるケースサイズの縮小化などなど、いろいろなデメリットがあったため大人気モデルとなるに至らなかったんじゃないかなと予想しています。
まとめ
というわけで、まとめですが、なかなか個性的な1本と言えるモデルです。
タンクに限っては通常モデルの方が好きですが、レベルソのライバルとして存在していた裏返せるタンクがあったというのを思わせるという点では興味深い1本ではあります。
人気はあまり出ないと思いますが、個性的な1本が欲しいという人にはこういったモデルもあるよ、ということを言及したいモデルだなと。
ただ、このモデルの面白いところは、裏返す機能のためにフレームを使用していますから、リューズが12時位置にあるんですね。
青く光るボタンのようなものが特徴的なんですが、リューズに使用される部分なので通常は時計右側で確認できるんですが、タンク バスキュラントでは時計上部で確認することが出来ます。
カルティエの腕時計ではこの青が好きという人が結構多いですから、容易に視覚出来る部分にあるのは良いアクセントとなることでしょう。
というわけで、裏返せるカルティエのタンクでした。