
H.モーザーという時計ブランドもクオーツショックの影響を多大に受けたメーカーです。
もともとロシアで始まった企業だったんですが、創業の翌年には創業者であるハインリッヒモーザーさんはスイスのルロックルに拠点を移しています。
ルロックルはフランスとの国境沿いにある群の名前でヌーシャテル州の中にある地名なんですね。
ヌーシャテルと言えばヌーシャテル天文台が思い浮かびます。
ルロックルもまたジラールペルゴの共同創業者の一人であるフランソワぺルゴが生まれたところでもあるんですね。
つまりは時計と深いかかわりのある場所なんですが、1828年に起業し、1829年にヌーシャテル州ルロックル群に本拠地を置いて始まった時計作りなんですが、実業家でもあったハインリッヒモーザーさんはジョーンズキャリバーでも有名なF.A.ジョーンズに電力などの設備を貸し出し、IWCの創設に協力したそうです。
そう、F.A.ジョーンズはIWCの創業者のこと。
アメリカ人のフロレンタイン・アリオスト・ジョーンズさんがスイスで時計作りを始めたのにはそういった背景があったんですね。
IWCが設立されたのも1868年で、2018年には創立150周年を記念して特別モデルがたくさん発表されたのは記憶にあたらしいところ。
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IWCの新作モデルについてはこちらで紹介しているので参考にどうぞ。
さて、そんなわけで、H.モーザーの歴史なんですが、1917年のロシア革命によってロシアにあった企業は財産を没収されます。
その後もスイスのルロックルでの時計作りは続いていましたが、クオーツショックなどの影響で、経営は存続できなくなってしまったんですね。
それから20年余り、IWCの技術部長とハインリッヒモーザーのひ孫が共同でH.モーザーを復興させます。
2002年に復活した同ブランドは2006年に新作コレクションを発表し、見事復活を果たします。
これがH.モーザーとIWCの繋がり。
お互いに協力し合うことが大事なことだということをわからせてくれる感動的なお話でした。
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現在、H.モーザーが売りとしているヒュメダイヤルも、IWCの創業150周年で発表されたラッカーダイヤルやトリビュートトゥーパルウエーバーも、僕が機械時計好きになった理由であるポルトギーゼもお互いが無ければ存在しなかったことなんですね。
H.モーザー エンデバー パーペチュアルカレンダー コズミックグリーン
そして、今回紹介するこのモデルも存在しえなかったんですね。
この美しすぎる緑色のヒュメダイヤルが全面に押し出された1本。
シンプルと言いたいところですが、H.モーザーとしてはシンプルとは言えないデザイン/レイアウトをしています。
まずヒュメダイヤルの意味なんですが、ヒュメはフランス語で煙。
外側に向かって色が濃くなっていくつかみどころのない儚い感じがとてもヒュメだなと言う感じ。
これは従来のH.モーザー通り。
ただH.モーザーにしてはダイヤルがちょっとごちゃごちゃしているのは永久カレンダーが搭載されているからなんですね。
デイトがあってスモールセコンドがあって、時針分針以外にもう1本短い針がセットされていて、インジケーターが備わっているんですが、出来るだけごちゃごちゃしないように設計されているのが見て取れます。
特に月を表す短すぎる針なんですが、これはちょっと注視しないと気づかないくらいこじんまりしています。
永久カレンダーにしてはあり得ないくらいシンプルにまとまっているんですが、H.モーザーとしてはややシンプリシティを失っている感じ。
9時位置にあるパワーリザーブインジケーターはケースバックから覗けるようにしてもよかったんですけどね。
ただ、曜日の搭載は断念しているようです。
おそらく、曜日などの文字を表示すれば文字盤が必然的にごちゃごちゃしてくるので、ブランド哲学に反するのかなと、想像しています。
これでもあり得ないくらいシンプルなんですけどねw
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こちらでも紹介していますが、コズミックグリーンと呼ばれる不思議な緑がH.モーザーのテーマカラーであった2018年に発表されたのが今回のモデルなんですね。
このブログでもあちこちでお話ししていますが、緑がこれから流行しそうなんですね。
青の次は緑と言う感じ。
ただ、モーザーが生み出す色だと比較しにくいんですよね。
ヒュメダイヤルという特殊なグラデーションめいたダイヤルは美しすぎて、何色でも魔法が掛かったようにきれいに見えてしまいます。
実際僕もH.モーザーがだんだんと好きになっていて、ダイヤルの美しさには魔力を感じるほどw
そう思うのは僕だけじゃないと思うのですが、2019年にどんな新作を発表するか本当に楽しみなんですよね、もうすでに。。