
最高の複雑時計が欲しい場合はどこのブランドを選べばいいんでしょうか?
もちろん機能や機構の内容にもよりますから、それでどんな時計ブランドを選べばいいかが分かってきます。
ジャガールクルトのジャイロトゥールビヨンやパテックフィリップのスカイムーントゥールビヨンやグランドマスターチャイムなんていらないでしょうが、
トゥールビヨンが欲しいか、クロノグラフに特化したのが欲しいか、永久カレンダーが欲しいか、ミニッツリピーターが欲しいかでそれぞれ選ぶメーカーが変わってきます。
精度を一番大事にしたいならロレックスだし、トゥールビヨンなら各社いろいろ作ってますからどれが一番いいか一概には言えませんが、
クロノグラフなら少しおすすめしたいブランドがあります。
個人的にランゲ&ゾーネと呼ばれるドイツのザクセン州で生まれた時計ブランドが好きなんですが、同社はが2018年にSIHHで発表したクロノグラフが本当にすごいと評判です。
A.ランゲ&ゾーネ トリプルスプリット Ref.424.038
こういうやつなんですが、どこがすごいってスプリットセコンドの機能が積算計にまで及んでいるところ。
スプリットセコンドというと、ラトラパンテとも呼ばれる機能で、クロノグラフをさらに複雑化、便利化した装置。
通常、クロノグラフは一つの対象物しか計測できませんが、スプリットセコンドは2つ以上のものを計測することが出来ます。
動きつ続ける針と対象物の計測をする針が同時に動いていて、何か一つの対象物がゴールなどして計測を終了するとき1本の針はストップボタンで止まりますが、もう1本は動き続けます。
止まった計測用の針はボタンを押すと動き続ける針の裏に回って再び同時に動き続けます。
こういった追いかけっこをするのがスプリットセコンド機能なんですが、2004年にはダブルスプリットと呼ばれるモデルを発表しています。
この機能は通常のスプリットセコンドが秒針だけのスプリットなのに対し、分積算もスプリットセコンドが採用されている機能のこと。
分なのでスプリットミニットの方がいいのかな?
つまり長時間にわたって、複数のものを計測することが出来る機能なんですね。
そして2018年に登場したトリプルスプリットには時積算にもスプリット機能が搭載されています。
スプリットセコンド、スプリットミニット、スプリットアワーが搭載された複雑極まりないクロノグラフが2018年にランゲ&ゾーネから発表されたわけです。
ドレス系の王道とも呼べるこのブランドの美しさと超複雑なクロノグラフが合わさった傑作といえる作品です。
実はランゲ&ゾーネはクロノグラフモデルはこれまでに作ってはいましたが、時積算を搭載したモデルを発表したのは今回のトリプルスプリットが初めて。
とはいえ機械構造的には動力などは香箱から直接エネルギーをとっている従来のクロノグラフモデルと同様の仕組みなので、デザインが新しくなったり機能が追加されていても、ランゲ&ゾーネの伝統はそのまま新作にも息吹いています。
43.2ミリのケースはホワイトゴールド製で、世界限定100本という貴重で高価そうなスペックを備えていますが、定価はおよそ13万ユーロで日本円でだいたい1700万円ほど。
トゥールビヨンを買うより、ドイツ製のスーパークロノグラフを買うのもありありなんじゃないかなと思います。
独自の道を行く独逸の秀逸な作品である、トリプルスプリットは正直かなり魅力的な3カウンターのクロノグラフに仕上げられています。